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在るのは
砕けた檻と
千切れた鎖


其処に居たものがいない


見慣れた景色の豹変
その意味を
彼はまもなく知る


『嘘だ』
自分を騙しても
時間は騙せない。
最期の時まで
冷酷に針を進め続ける


近付くのは
重い足音と吼え猛る声
己の鼓動


感覚は研ぎ澄まされ
身体はただ震えるだけ


恐怖の瞬間を引き伸ばす
滑稽な人形と化した


弁解も謝罪も通じない
言葉などただの飾りに過ぎず


祈っても神には届かない
彼を恐怖から救うのは
振り下ろされた
その爪だけ

2008/7/27
檻を壊して
鎖を千切る


枷の外れた身体
浴びる日の光
歓喜の咆哮


自由を掴むなど造作もない
こんなもの
始めから意味のない玩具


ただ奴を安心させただけ
油断の果てに植え付けた恐怖


獣は向かう
自由を奪った者の『自由を奪う』



哭き声はじきに響くだろう

2008/7/27
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プロフィール

雨月 真希の詩置場。
 【雨】…オールジャンル。
 【月】…情景、幻想的。
 【真】…退廃的。
 【希】…応援、前向き。
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